2009年 04月 07日
イースターの時期に思うこと |
マーティンと初めて知り合ったのは、2000年の10月。大学主催の、日帰りのハイキングで知り合って、その後、なぜか自然に、週に1回か2回ぐらいプールで泳いだり、お散歩に行ったり、お出かけし始めたのが、翌年3月中旬。友達として出かけていたのだけど、なんだか、雰囲気はよかった。マーティンは、渡米してわずか5ヶ月。心を許せる親しい友人なんていなかった時で、私が、初めての本当の友達だったそう。
そして、3月下旬。イースターの時期。マーティンのチェコ人彼女が、長い闘病生活の後、スイスの病院で、同月の初めに他界したことを、マーティンから知った私。マーティンの気持ちを考えると、とても気の毒に思っていた。そんなある日、どこのスーパーでも売っている、イースターバニー(メス)のチョコレートをたまたま買った私は、これをマーティンにあげることにした。
「目のぱちくりきれいな、魅力的な女の子が家にいて、あげたいのだけど。」と言っておいた。しばらくして、マーティンが、アパートメントにやってきた。付き合ってもいない男の人を、家の中にあげるのは嫌だったので、アパートメントの入り口へ出迎えにいったら、マーティン、片手に一輪の赤いバラを持っていて、さっとくれた。
「これ、私に?ありがとう。」と心ときめいた私。早速、後ろに隠しておいたバニーのチョコレートをあげた。「これを僕にくれたかったの?ありがとう!」と言ったものの、その時の、マーティンの、がっくりした表情。「ちょっとしたユーモア付きの贈り物のつもりが、マーティンは、きっと新しいガールフレンドでも紹介してくれると思ったのだわ。バラまで持ってきて。私、何てこと、してしまったのだろう!」後でマーティンに聞いたところによると、新しいガールフレンドを紹介してくれるか、もしくは、私自身を「ガールフレンドにして」とPRしているのかと解釈したらしい。何と大胆なアプローチ!と思ったそう(爆笑)。
もっと男女の関係のことに気が利く女の子だったら、バラなんてもらった際には、「お茶でも飲んでいかない?」と家に入れて、接待でもすることぐらい考え付くだろうに。それまで男女交際なんて全く縁の無かった私は、何が起こっているのかピンと来ないまま、その日は、そこで「バイバイ」で終わり。あとで、誰かに話したら、「そんな時は、家にでもあがってもらって、せめてお茶でも出さなきゃ!」と入れ知恵された。「ひえ~、しまった~!そうだったのか~。」
そんな折、親友のアマンダと、アメリカのスーパーで売っているセットを使って、イースターの卵染めをした。私もアマンダも、正統なゆで卵の作り方(割れ目の出来ない方法)が分からず、アマンダ、テキサスに住んでいるおばに電話して聞く。ゆでた卵をドボンと色水に漬けて、乾いた卵に、アニメのキャラのシールをピッタンと貼りながら、突然私の生活に頻出し始めた「奇妙なチェコ人」の話で、2人とも盛り上がる。
出来上がったアメリカチックなイースターの卵達!初めての卵染めに、自分でも感心した私は、マーティンに披露することにした。東欧出身の人だから、イースターの卵には興味があるに違いない!って、相手は東欧の人なのだから、もっと、まともな卵を披露してよ!と、今となれば、思いっきり突っ込みたくなるのだが。アニメのキャラのシール付きの、単色染めの卵を、あの本格的な、細密な模様の卵を見て育った東欧人に見せびらかすなんて、何を考えていたのか、当時の私(爆笑)。
もちろん、今回は、これを機会に、きちんと家にあがってもらおうと決めた。ワンルームにキッチンにバスルームの、当時の私の部屋にやって来たマーティン。あがってもらうといっても、お付き合いしているわけでもない男性を、ダイニングテーブルの置いてあった、部屋の奥まで入れるのは嫌なので、玄関のドアに近い所に、卵のコレクションを、お塩と一緒に出して(爆笑!)、マーティンには、そこに座ってもらった。
塩と一緒に出てきた、アメリカンイースターの(ゆで)卵を見て、「???????」という顔をしたマーティン。
「生まれて初めて、卵染めしてみたの。どうぞ、食べてね!」と、勧める私。殻を剥いたら、白身の外側の部分にも、色が染み込んでいた。色が付いた部分を取りながら、塩を付けて、ゆで卵を食べ始めた私。
きょとんとした顔で、マーティンが言った。「パンある?」
何が起こっているのか把握できず、きょとんとしてしまった私。「どうして、突然パンが食べたくなったのだろう?」と、卵とパンの関係が分からないままでいた。
「卵と一緒に食べる何かがあるといいのだけど、と思って。」と、マーティンが言った。
「あっ、ご飯ならあるよ」。
きょとんとした顔のマーティン。ご飯と卵の関係を把握できずにいた。
「私、パン食べないから、家にパンないのだけど。」
学生時代、食費節約にと、2,3回、パンのローフをスーパーで買ったことがあるが、パン好きでない私は、買う度に、最後まで食べつくせず、腐らせてしまった。
東欧では、ゆで卵を染めるのではなく、きちんと中身を吹き出して染めるなんて、考えもしなかった当時の私。ゆで卵は、世界中、塩と一緒に食べるものだと思っていた。
ゆで卵は、パンと一緒に食べるものだと思っていたマーティン。誰もが、自分のように、自宅にパンを常置しているものだと思っていた。
手土産に、残りの卵を数個持って帰ってもらった(きっと、私の作品に、こんなのいらない!と言えなかったんだろうな。マーティン。)。初めての、マーティンへのおもてなし。心はこもっていたものの、文化の違いに、いまいち、コミュニケーションが取れていなかった(笑)。
あれから、早くも8年。我が家には、こんなバニーちゃんが飛び回っております。
そして、3月下旬。イースターの時期。マーティンのチェコ人彼女が、長い闘病生活の後、スイスの病院で、同月の初めに他界したことを、マーティンから知った私。マーティンの気持ちを考えると、とても気の毒に思っていた。そんなある日、どこのスーパーでも売っている、イースターバニー(メス)のチョコレートをたまたま買った私は、これをマーティンにあげることにした。
「目のぱちくりきれいな、魅力的な女の子が家にいて、あげたいのだけど。」と言っておいた。しばらくして、マーティンが、アパートメントにやってきた。付き合ってもいない男の人を、家の中にあげるのは嫌だったので、アパートメントの入り口へ出迎えにいったら、マーティン、片手に一輪の赤いバラを持っていて、さっとくれた。
「これ、私に?ありがとう。」と心ときめいた私。早速、後ろに隠しておいたバニーのチョコレートをあげた。「これを僕にくれたかったの?ありがとう!」と言ったものの、その時の、マーティンの、がっくりした表情。「ちょっとしたユーモア付きの贈り物のつもりが、マーティンは、きっと新しいガールフレンドでも紹介してくれると思ったのだわ。バラまで持ってきて。私、何てこと、してしまったのだろう!」後でマーティンに聞いたところによると、新しいガールフレンドを紹介してくれるか、もしくは、私自身を「ガールフレンドにして」とPRしているのかと解釈したらしい。何と大胆なアプローチ!と思ったそう(爆笑)。
もっと男女の関係のことに気が利く女の子だったら、バラなんてもらった際には、「お茶でも飲んでいかない?」と家に入れて、接待でもすることぐらい考え付くだろうに。それまで男女交際なんて全く縁の無かった私は、何が起こっているのかピンと来ないまま、その日は、そこで「バイバイ」で終わり。あとで、誰かに話したら、「そんな時は、家にでもあがってもらって、せめてお茶でも出さなきゃ!」と入れ知恵された。「ひえ~、しまった~!そうだったのか~。」
そんな折、親友のアマンダと、アメリカのスーパーで売っているセットを使って、イースターの卵染めをした。私もアマンダも、正統なゆで卵の作り方(割れ目の出来ない方法)が分からず、アマンダ、テキサスに住んでいるおばに電話して聞く。ゆでた卵をドボンと色水に漬けて、乾いた卵に、アニメのキャラのシールをピッタンと貼りながら、突然私の生活に頻出し始めた「奇妙なチェコ人」の話で、2人とも盛り上がる。
出来上がったアメリカチックなイースターの卵達!初めての卵染めに、自分でも感心した私は、マーティンに披露することにした。東欧出身の人だから、イースターの卵には興味があるに違いない!って、相手は東欧の人なのだから、もっと、まともな卵を披露してよ!と、今となれば、思いっきり突っ込みたくなるのだが。アニメのキャラのシール付きの、単色染めの卵を、あの本格的な、細密な模様の卵を見て育った東欧人に見せびらかすなんて、何を考えていたのか、当時の私(爆笑)。
もちろん、今回は、これを機会に、きちんと家にあがってもらおうと決めた。ワンルームにキッチンにバスルームの、当時の私の部屋にやって来たマーティン。あがってもらうといっても、お付き合いしているわけでもない男性を、ダイニングテーブルの置いてあった、部屋の奥まで入れるのは嫌なので、玄関のドアに近い所に、卵のコレクションを、お塩と一緒に出して(爆笑!)、マーティンには、そこに座ってもらった。
塩と一緒に出てきた、アメリカンイースターの(ゆで)卵を見て、「???????」という顔をしたマーティン。
「生まれて初めて、卵染めしてみたの。どうぞ、食べてね!」と、勧める私。殻を剥いたら、白身の外側の部分にも、色が染み込んでいた。色が付いた部分を取りながら、塩を付けて、ゆで卵を食べ始めた私。
きょとんとした顔で、マーティンが言った。「パンある?」
何が起こっているのか把握できず、きょとんとしてしまった私。「どうして、突然パンが食べたくなったのだろう?」と、卵とパンの関係が分からないままでいた。
「卵と一緒に食べる何かがあるといいのだけど、と思って。」と、マーティンが言った。
「あっ、ご飯ならあるよ」。
きょとんとした顔のマーティン。ご飯と卵の関係を把握できずにいた。
「私、パン食べないから、家にパンないのだけど。」
学生時代、食費節約にと、2,3回、パンのローフをスーパーで買ったことがあるが、パン好きでない私は、買う度に、最後まで食べつくせず、腐らせてしまった。
東欧では、ゆで卵を染めるのではなく、きちんと中身を吹き出して染めるなんて、考えもしなかった当時の私。ゆで卵は、世界中、塩と一緒に食べるものだと思っていた。
ゆで卵は、パンと一緒に食べるものだと思っていたマーティン。誰もが、自分のように、自宅にパンを常置しているものだと思っていた。
手土産に、残りの卵を数個持って帰ってもらった(きっと、私の作品に、こんなのいらない!と言えなかったんだろうな。マーティン。)。初めての、マーティンへのおもてなし。心はこもっていたものの、文化の違いに、いまいち、コミュニケーションが取れていなかった(笑)。
あれから、早くも8年。我が家には、こんなバニーちゃんが飛び回っております。
by krkonose
| 2009-04-07 19:32
| 異文化